BUSINESS STORY #08変化に対応し、ビジネスを切り開く

直需ビジネスとは

日本紙パルプ商事のビジネスの一つに、「直需」営業がある。直需とは、製品を欲している企業(エンドユーザー)に仲介業者を介さず、当社が直接販売を行うビジネスモデルである。エンドユーザーにとっては、製品の原料・素材の知見が深い当社に直接注文ができることで、スペックやコストなどの細かな折衝がしやすいというメリットがある。そのため、直需ビジネスにおける取り扱い商材は、一般的に流通している汎用品だけでなく、エンドユーザーの要望に合わせた特注品や専用部品等を納めるケースも多い。結果的に、さまざまなジャンルの商材を取り扱う営業形態であり、H.O.は直需ビジネスのプロフェッショナルとして日々尽力している。

「直需二課は包装資材を中心に、食品や機械製品梱包用の箱や段ボール、軟包材と言われるプラスチック素材の食品包装フィルム、不織布(ポリエステルなどの素材を一定方向、もしくはランダムに、接着樹脂や熱で化学的に繋ぎ合わせた布)など、多岐に渡る商材を扱っています。また、ビジネスモデルの特性上、顧客の要望に合わせ原材料の選定から製品の加工・納品まで、全てのコーディネートを任されるケースもあります」

一般的な卸売ビジネスでは、メーカーから既存の製品を大量に仕入れ・保管し、必要な時に必要な量を都度納品する形態が多い。そのため、担当する商材が大方決まっており、営業パーソンにはその商材の知識および需給動向に精通し、大量の注文をスピード感を持って捌くことが求められる。一方直需ビジネスでは、顧客が欲する特注品等を取り扱うことから、自分が全く知らない分野に関しても、一から勉強し最終製品化までの道筋を描く必要がある。そのため、自ら学び得た知識を基に、コーディネーターとして仕入先・加工業者・販売先をまとめる推進力が、直需営業パーソンには求められるのだ。

対応力を磨く

H.O.が直需に配属され一番苦戦したのは、限られた時間で何をすべきかを判断しなければならないことだ。

「配属当初は、新規案件の提案や取引先からの相談・問合せ、時にはトラブル対応など、日々の多くの案件に対し、自分の知識・経験が圧倒的に足りませんでした。そのため、限られた時間を最大限有効に使うべく、優先順位をつけ、何事にも知的好奇心を持ち知識を吸収することを意識しました。また、自身の業務へのスタンスを『広く・浅く』ではなく、『広く・深く』とすることで、どのような事態にも対応する覚悟・姿勢が身についたと感じています」

当然、最初から上手くは進まず、失敗は幾度となくあったという。だが、実直な姿勢は次第に取引先からの信頼に繋がり、さまざまな経験を経て、H.O.は多様な包装資材に精通するエキスパートへと成長していった。

特に、数ある案件の中で印象に残っているのは、某食品メーカーからの仕様変更に関する相談だ。

「内容物を包装する軟包材の仕様を変更したいとの相談がありました。詳しい要望をヒアリングしたところ、パッケージに高級感を演出するために、当時流行り始めていたマット加工(ツヤ消しのコーティング)を現行品に加えたいとのことでした」

この要望は、一見単純に思えるが、実は大きな仕様変更を伴うものだった。まず、現行品の加工業者ではマット加工への対応ができなかったため、H.O.は新たな加工先の検討からスタートした。現在のスペックを維持しつつ、新たな加工を加えるとなると、対応できる業者は少ない。スタート地点から苦戦したH.O.だったが、これまで培ってきた知見と社内ネットワークを駆使し、ニーズに合致した業者を選定。コーディネーターとして、試作品製造を開始した。

実際に試作してみると、多くの問題が発生した。まず、マット加工をかけると製袋(袋状に加工する行程)時にフィルム表面に焦げ付きが発生し、パッケージの役割の一つである美粧性が損なわれてしまった。そこで、顧客の要望とは異なるが加工部分をパッケージ全面ではなく、袋の一部分に限定する仕様に変更。また、マット加工のツヤ消しの度合いを要望に合わせることに苦心し、通常であれば1~2回の試作を5回行って調整した。しかし、実際に本番品を生産すると、事前想定とツヤ消し度合いが異なったため、再度仕様を変更して製造を行うことに。最終的には現行仕様が最適と判断され、マット加工はパッケージから取り除かれる結果となった。

「本案件は、結果として従来仕様の継続で着地しました。当初の想定通りではなかったですが、先方の要望に対し、一つひとつ実直に向き合った上の結論だったので、最終的にはご納得いただけました。今回の件でポイントだと感じたのは、顧客からの難しい相談に対しても、逃げずに粘り強く挑戦したことです。現時点での最適解に正しく導くことが、営業としての重要な役目なので。また余談ですが、現行デザインでの売上が好調なため、結果的に良かったとも捉えています(笑)」

H.O.の対応力は顧客より高く評価され、現在は別案件の相談を受ける等、関係性はより強固なものとなっている。

更なるプロフェッショナルを目指して

H.O.が目指す未来はどのようなものか。

「変化の激しい現代のビジネスにおいては、顧客のニーズが変わっていくことを日々肌で感じています。だからこそ、自分も変わり続けなければならないですし、より成長していきたいと考えています。また、直需のビジネスモデルは、個々の経験・スキルに頼る部分が多くあります。この経験・スキルを組織として共有する仕組みを作ることで、より強固な集団ができていくと考えます。全員があらゆる商材を提案できるエキスパートとなれるよう、周囲を巻き込みながら、率先して役割を果たしていきたいです」

直需営業パーソンとして鍛え上げたマインド、知識を武器に、H.O.は未知なる分野への挑戦を続けていく。

O.H
営業部門
2012年入社
産業資材営業本部

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