子供の成長を記録に残したい。そんな親の思いはいつの時代も変わることはない。写真を撮るのは成長記録の定番だが、写真と合わせて赤ちゃんの小さな手形・足形を手軽にパステルカラーの紙に残し、一緒に飾れるセットが登場した。
墨や絵の具を使って残す子供の手形や足形は微笑ましいものだ。子供が大きくなってから見返して、「こんなに小さな頃があったんだな」と、思い出に浸った経験のある人も多いのではないだろうか。
しかし、いざ手形をとろうとすると、墨・絵の具の用意や周囲を汚さないための工夫、活発に動く赤ちゃんの手足に墨や絵の具を塗り、紙にまっすぐ押す難しさなどが相まって、一筋縄というわけにはいかない。
その大変さも思い出の一コマになると言ってしまえばそれまでだが、ナカバヤシ株式会社の「手形足形フォトフレーム」にセットされた「発色紙」と「発色液」は、こうした面倒を一気に解決してくれる。
発色液をしみこませた不織布をセットの中から取り出し、赤ちゃんの手のひらにまんべんなく塗ってから、その手のひらを発色紙の上に乗せる。すると発色液の付いた部分だけが黄色に発色するので、あとは乾かして終了。発色紙に手形をとった日付などを書き入れる場合は、ボールペンやマーカーなどによる筆記も可能だ。
発色液は無色透明で、化粧品にも使われる安全性の高い原料で作られている。周囲や赤ちゃんの手足を汚す心配がなく、皮膚に付いても無害で、手形をとり終わった後は水洗いで簡単に落とせる。
まるで理科の実験のように発色の過程も楽しめる発色紙と発色液は、ナカバヤシの協力会社であるインキメーカーが開発した。もともと手形がとれる素材を探していたナカバヤシでは、インキメーカーから提案されたこの商材に可能性を見出し、採用を即決したという。
製品の企画を担当したナカバヤシ・企画部の加藤美香さんはそのときの様子を次のように語る。
「黒いインキで手形をとる製品は当社でも以前からラインアップしていたのですが、こちらはカラーな上に手足を汚さずに済むのが良いですね。しかも、うまく押せずに手形をとるのに失敗した場合は、発色紙についた液が乾く前に水で洗い、紙を乾かせばまた使えるようになります。赤ちゃんはうまく手足が動かせなかったりするので、失敗してもやり直しできるのは大きな魅力でした」
この「やり直しができる」という特長は、発売前の展示会でも大いに注目を集め、販売店などがその詳しい説明を聞きたがったという。また、ピンクと黄色の優しい色合いや、赤ちゃんの写真と小さな手形足形がフレームの中に収まる様子も「かわいい」と好評だった。
「写真はデジタルデータで残すこともできますが、手形足形の場合は、紙に押したものをデジタルで取り込んで画面で見ると、サイズがわからなくなってしまうのが難点です。紙のまま残すからこそ、赤ちゃんの手足の小さなサイズ感がリアルに伝わり、素直に『かわいい』と思えるんじゃないでしょうか。それを写真と一緒に見返すことで、そのときの赤ちゃんの様子がありありと思い出される。紙の上の手形足形を通して、そんな『生』の良さを感じていただければ嬉しいです」(加藤さん)
「手形足形フォトフレーム」は今年9月に発売されたばかりだが、加藤さんの所属する企画部では、無色透明の発色液が発色紙に接するとカラーになる新奇性に着目し、この仕組みを他の製品にも展開できないかと期待が高まっているという。
「発色」という特殊な機能をもった紙が、本来は形をもたない「思い出」に形を与え、記録として先々まで残す役割を担う。今後その機能にどんな角度から光が当たり、紙の可能性を引き出していくのか。これからが楽しみである。
ライター 石田 純子
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