気軽にインテリアを自作する人が増えている。
SNSの写真や動画でコツや仕上がりイメージが見られるようになり、「これならできそう」と思える初心者向けの作例も豊富に紹介されている。
そんな状況を背景に、見る人にDIYへの入り口を開く紙製のテープが人気を呼んでいる。
幅広のテープを切って壁や床に貼り付ける。
大きめのシールをはがしてテーブルやチェストに貼ってみる。
そんなちょっとしたことでインテリアを自分好みに変えられるなら、ふだんはDIYと縁遠い人もやってみたいと思うのではないだろうか。
そんな気持ちを応援するグッズが「mt CASA(エムティーカーサ)」だ。
これはインテリア用に作られたマスキングテープで、さまざまな色柄とサイズを揃え、2012年よりカモ井加工紙株式会社(岡山県倉敷市)が製造販売を行っている。
マスキングテープといえば、もともとは塗料を塗らない部分を覆い隠すテープのことで、車両や建材などの塗装に使う工業用品として流通しているほか、小型のものはイラストレーションなどを絵の具で仕上げるときに用いられる。また、粘着力が強すぎずはがしやすいため、建材や部品の仮留めに使われることもある。
その多くは和紙かクレープ紙を素材にしており、ぴったり貼れてきれいにはがせる特徴は、糊の品質と紙の性質によるところが大きい。
しかし最近では、若い女性を中心に「マスキングテープ」といえば、色柄付きで小物のデコレーションなどに使うテープを思い浮かべるようだ。そしてその発端は、2008年にカモ井加工紙が発売した和紙製のカラフルなマスキングテープ「mt」だった。
発売とともに話題になったmtは、装飾性の高さはもちろん、本来の用途で培われた貼りやすさ、はがしやすさ、薄くて丈夫なのに手でも切れる扱いやすさなどの実用性が人気を支え、リピーターを増やしていった。そこにインテリア用のマスキングテープ、mt CASAがラインアップされるようになったのは、2009年に東京で開催されたイベントがきっかけだったという。
「当時のmtは『文具』としてとらえられていたと思いますが、利用の可能性を探るために『部屋をmtで貼り尽くしてみよう』という趣旨のイベントを実施したのです。すると来場者から大きな反響がありました。とくに壁や床に貼れる点に注目している方が多かったですね。それでインテリア専用品の企画がスタートしたのです」と、カモ井加工紙営業部コンシューマー課の高塚新(たかつかしん)さんは説明する。
そのようにして開発されたmt CASAは2012年に発売され、その後も製品のバリエーションを増やしていく。現在ではテープ幅が50ミリから230ミリまで揃い、ほかに三角形・長方形・六角形などのシートタイプもラインナップした。色柄も無地や幾何学模様、木目柄をはじめ、アールヌーヴォー期のプリント柄など幅広く揃う。
その多くは素材に和紙を用いているので、和紙特有の柔らかな素材感があり、インテリアになじみやすいのもファンを増やし続けている理由だろう。一部のmt CASAには不織布も導入し、さらに用途を広げている。
「mt CASAは貼るのも簡単、はがすのも簡単です。貼ってみてイメージと違ったらはがせばいいだけなので失敗もないですし。値段も手頃なので、お試し感覚で気軽に取り入れていただけるとうれしいですね」(高塚さん)
もともと「木と紙の家」に住み続けてきた私たち日本人にとって、和紙のテープで彩ったインテリアには新しさだけでなく、親しみやすさも感じられる。ハサミだけ用意すれば、あるいはハサミすら使わずに始められるDIYは、紙だからできることなのかもしれない。
ライター 石田 純子
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