OVOL Insight
ピープル

卓越した情報力・提案力・供給力で、ニーズに見合う紙をコーディネートし続ける

厳選した商品を魅力的に訴求するスタイルで、多くの固定ファンを引き付けてきたカタログ雑誌『通販生活®』。1982年に創刊された通販生活®を編集・出版するカタログハウスは、品質にこだわった通信販売やショールームの運営を手掛けており、日本紙パルプ商事との間には約四半世紀の歴史がある。
日本紙パルプ商事は、カタログハウスの主力媒体である通販生活®を筆頭に、カタログハウス発行の各種紙媒体、販促用の新聞折り込みチラシ向け用紙を供給している。その業務を担当するのが、日本紙パルプ商事の卸商・印刷営業本部 印刷直需部だ。

羽鳥 愛子
Aiko Hatori
日本紙パルプ商事株式会社
卸商・印刷営業本部 印刷直需部 印刷直需一課
大塚 孝太郎
Kotaro Otsuka
株式会社カタログハウス
取締役副社長
※ 所属・役職名は取材時時点のものです

卸商・印刷営業本部 印刷直需部の役割

卸商・印刷営業本部 印刷直需部がメインに取り扱うのは、グラフィック用紙だ。近年著しい電子化の影響を大きく受ける分野であるものの、グラフィック用紙は現在も情報伝達の重要なツールとして人々の日常を根底から支えている。情報伝達を目的としたチラシやカタログ用の紙を扱うプロフェッショナルたちが在籍するのが、卸商・印刷営業本部 印刷直需部である。その中の一人である羽鳥は、印刷直需部に期待されている役割を「紙媒体を扱っているお客様やその先のエンドユーザー様の要望に応えること。そして、お客様に寄り添った提案をすることで、少しでもお客様の課題解決を手助けすること」と認識している。
チラシやカタログ用に使われる紙は一般的に、製紙メーカーが製造する汎用品が使用される。そのため品質の差が生まれにくく、他社との差別化は難しいとされてきた。しかし、日本紙パルプ商事には1845年の創業以来、連綿と蓄積し続けたノウハウがあり、日本国内の紙流通において卓越した情報力・提案力・供給力がある。この強みが、最新の情報に基づく提案と安定した製品供給を可能にしている。

カタログ専用の再生紙開発をきっかけに、関係性が深まった

1982年の通販生活®の創刊以来、カタログハウスは通販生活®に掲載する商品をメーカーと共同開発するなど、常に高品質・高付加価値を追求してきた。また、環境問題に対する意識も高く、森林資源の問題にも関心を寄せ続けている。現在、通販生活®では、古紙を主な原料とした「カタログハウス専用再生紙」を用紙に使用している。原材料の調達状況が都度異なり、配合する古紙の割合もその時々で変わるため、今号の配合率を誌面に明記し続けてきた。

そもそも、日本紙パルプ商事との関係性が深まったのは、カタログに用いる再生紙の開発がきっかけだった。当初の依頼内容は、カタログハウス発行のカタログを回収し、それを原料とした古紙100%の用紙を開発できないか、というものだった。しかし、クローズドループでのカタログ用紙の生産・供給は難しく、市中回収の古紙100%による開発を日本紙パルプ商事とメーカーとで取り組むことになった。品質・強度を担保すべく何度もテスト抄紙と印刷・加工試験を重ねた結果、カタログハウスが求めるスペックを満たすことが叶い、「表紙や本文、全ての紙が古紙100%からなるカタログ」が実現した。「古紙100%の用紙を開発し、採用いただいたというこのプロジェクトは、日本で初めての試みだったと聞いています。こうした一連の流れを後から知り、まさに当社が持つ『提案力』を余すところなく発揮した結果だと感じました(羽鳥)」。

  • カタログハウスが発行する紙媒体
  • 通販生活®に記載された「今号の用紙配合率」

紙カタログの可能性を探る

近年、出版物の電子化などに伴い、グラフィック用紙の需要は減少傾向にある。一方で、紙の出版物を求める消費者は依然として多い。カタログハウスの顧客も、紙のカタログやチラシが届くことを心待ちにしている。「特にカタログは好きなときに手に取り、どこにどんな情報があるか探しやすい媒体ですので、今後も通販の重要なツールとして利用され続けると考えております(羽鳥)」。
大塚も通販生活®に興味を持って読んでくれる読者の期待に応えるべく、紙カタログを出し続けると意気込みを示すとともに、紙カタログの存続を切に願っている。「読者というお客様が通販生活®を面白がって読んでくださる限り、紙カタログを出しつづけていきます。今後も新聞や雑誌の種類や部数が減っていくと思いますが、なるべく最後まで、当社の媒体が残っていられたらいいなと思っています(大塚)」。

お客様に寄り添い、課題を解決する

カタログハウスの読者の年齢層は、比較的高い。そうした人々の目線に立って商品企画を行うとともに、より読みやすい紙媒体となるよう、カタログハウスは尽力している。羽鳥はこうしたスタンスこそ、通販生活®が支持され続ける要因と考えている。「カタログハウス様がお客様のニーズを反映されて、変化し続ける様子を拝見し、素晴らしいと感じます。例えば、読者から寄せられた『冊子を手にしたとき重く感じる』というご意見をもとに、判型の変更に素早く対応なさいました。常にお客様目線で考えることを心掛けている私としては、種々学ばせていただいております(羽鳥)」。

カタログハウスが強く意識し続けていることは、読者との距離を縮め、寄り添うことだ。カタログハウスのそうした姿勢は、羽鳥が認識する日本紙パルプ商事 卸商・印刷営業本部 印刷直需部に期待されている役割である「お客様に寄り添ったご提案をすることで、少しでもお客様の課題解決を手助けすること」と重なる。カタログハウスに寄り添い、「より良いものを」というニーズに対して迅速・的確に対応できるよう、羽鳥はこれからも精進し続ける。そのためにも、羽鳥は紙にまつわる知識を貪欲に吸収し、カタログハウスに提供していくと語る。「カタログハウス様へご提供する価値を、私共『日本紙パルプ商事』が持つ強みを生かしながら追求することで、他社との差別化を図っていければと考えております(羽鳥)」。

羽鳥の研鑽に、終わりはない。

catch up | 日本紙パルプ商事が携わった紙パッケージを採用

カタログハウスは「メディカル枕」など数々のロングセラーを生み出してきた会社だ。それだけに、固定ファンも多い。「常連となっているお客様との関係性をいかにして維持するかが大切だと考えています。並行して、新規のお客様も獲得していかなくてはなりません(大塚)」。既存顧客への訴求強化と並んで、新規顧客の獲得にも注力するカタログハウス。その取り組みの一環として独自開発したのが、発熱肌着シリーズ「フジヒート」だ。2023年秋から本格的に販売を開始しており、その紙パッケージは日本紙パルプ商事 国際事業本部 紙化ビジネスグループが開発を手掛けている。カタログハウスの商品は通常、オリジナルの段ボール箱に入れて発送されるが、フジヒートは箱に入れると余分な隙間ができてしまう。そのため、ネコポス(※)対応の紙パッケージが用いられている。
「物流コストを軽減する目的で、日本紙パルプ商事さんにお願いしました。段ボールの使用量が減らせる他、一見してフジヒートと分かるデザインであることから認知度向上につながるというメリットがあります。リピート化を目指す商品ですので、フジヒートの名前を浸透させ、競合との差別化を図る狙いがあります(大塚)」。

※ ヤマト運輸が行う、小型・軽量の荷物に特化した投函・配達サービス。送料が比較的安く、補償や追跡サービスがついている。

お客様名
株式会社カタログハウス
本社所在地
〒151-0053 東京都渋谷区代々木2丁目12番地2号
ウェブサイト
http://www.cataloghouse.co.jp/
※ 通販生活のウェブサイト

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[掲載日] 2024年11月18日