Kamipa Insight
ピープル

紙ビジネスの新しい可能性を、ECサイトで切り拓く

日本紙パルプ商事は2つのECサイトを運営している。

そのひとつ「Paper & Goods(https://www.paperandgoods.com/ 以下P&Goods)」では、店舗、工場、事務所などを主なターゲットに、オンデマンド・デジタル印刷用のメディアを扱っている。現在の取扱アイテム数は、8,000点以上。プリンタ用紙なら、一般的に使われるレーザープリンタ・コピー用紙からプロ向けの大判プリンタ用紙までが揃う。さらに、ラベルシール、フィルム、不織布、インクやトナーなどもラインナップ。その他にも、紙雑貨やパーテーション、抗菌製品など衛生グッズに至るまで、品揃えは実に豊富だ。

また、2019年には、環境配慮型製品の販売・紹介を通じて関連情報を集積・発信し、環境配慮型製品の使用促進に貢献する新たなECサイトとして、「Paper & Green(https://www.paperandgreen.com/ 以下P&Green)」を立ち上げた。紙、パルプ、木材を原材料にした製品に限らず、バイオプラスチックを活用した環境配慮型製品などを掲載しており、こちらも取扱アイテムは幅広い。

これらのサイトに関わってきた床嶋と山下に、立ち上げの経緯や特徴、紙の専門商社だからこそ提供できる価値や今後の展望などを聞いた。

Paper & Goods 担当
床嶋 展
Hiromu Tokoshima
日本紙パルプ商事株式会社
機能材営業本部 機能材3部 デジタルソリューショングループ
Paper & Green 担当
山下 猛
Takeshi Yamashita
日本紙パルプ商事株式会社
国際営業本部 サステイナブルソリューショングループ
※ 所属・役職名は取材時時点のものです

サイトを立ち上げたのは、今から20年以上前

P&Goodsの立ち上げは、2001年に遡る。会社として初めての取り組みであることに加え、当時、社内にECビジネスに長けた社員はおらず、手探りの状態でスタートを切った。2015年に床嶋が前任者よりEC事業を引き継いだが「SEO対策(※)やコンバージョン(購入)率の改善なども、最初は感覚的に行っていました(床嶋)」。トライ&エラーを繰り返す中で、徐々にサイトは成長していく。2016年にはECサイト「松本洋紙店」と資本業務を提携。2017年11月にはAmazon Businessへの出店を果たし、幅広い顧客層の取り込みも強化された。

※SEOとはSearch Engine Optimization(検索エンジン最適化)の略。
検索エンジンによる検索結果で、サイトをより上位に表示し、サイトに訪れる人を増やすための取り組みを総称してSEO対策という。

一方、2017年当時、新規製品や用途開発を担当していた山下は、サステイナビリティの観点から、プラスチックを紙素材で代替する案件を多く手掛けるようになった。「高まる環境対応ニーズに応えることはもちろん必要ですが、そもそも日本紙パルプ商事は、自ら主体的に環境配慮型製品を広く伝えていく使命を持っています(山下)」。そんな日本紙パルプ商事だからこそ、環境配慮型製品をビジネスとして、さらに周知・販売するために、ECサイトのチャネルを増設することを決めた。

こうして、2018年末、サステイナブルソリューショングループが誕生する。そして、今までよりもダイレクトにニーズを掘り起こし、広く環境配慮型製品をアピールするために、2019年9月、P&Greenが立ち上がった。

専門商社ならではの高い専門性と
きめ細かい対応

2つのサイトが提供している価値とは何か。

P&Goodsを訪れたユーザーは、豊富なラインナップの中から、紙を始めとするメディアはもちろん、インク、トナー、家庭紙、オフィス用品までをP&Goodsから一括して発注できる。プリントメディアが多様化する昨今、複数の異なる業者に発注しなければならないケースも増えており、当サイトのユーザーの利便性は高い。

「紙専門商社のECサイトだけあって、寸法や厚み、色味、ロットと、多様化するビジネスニーズに対応できます(床嶋)」。サイトに寄せられる問い合わせにも、ときにはサンプルを送付するなどきめ細かく応じている。

また、製紙・素材メーカーと直接取引しているからこそ、メーカーから得たフレッシュな製品情報を、ユーザーに直接届けることもできる。「直接エンドユーザーに販売でき、反応もすぐにわかるので、既存得意先より自社開発製品のネット販売の申し出を受け、一緒に紹介ページの内容を考えて掲載するなど、協業することもあります(床嶋)」。

日本紙パルプ商事から見れば、さまざまなお客様に幅広くリーチできるというメリットがあり、購入回数の多いユーザーには直接コンタクトし、訪問することもある。

丁寧な説明で一般製品との
差別化を図る

「専門商社の目で厳選した製品を、ユーザー主体で選択、判断、購入できるECサイトという場で提供していることは、P&Goodsと同じです」。P&Greenの提供価値について、山下はそう話す。日本紙パルプ商事として、さまざまなお客様にアプローチできることも同様だ。「従来の営業ルートでは届かなかった方も含めて、多くのユーザーに見ていただくことができます(山下)」。

環境配慮型製品を扱うサイトならではの価値もある。「環境配慮型製品は開発品的なものもあり、すぐに市場を獲得するのが難しい場合も多くあります。情報を広く周知していきたい製品について、『P&Greenで紹介したい』と仕入先からご依頼いただくケースも増えてきました(山下)」。

反面、環境配慮型製品を扱うからこその工夫も必要だと言う。「環境に配慮された素材や製法の製品は、単純に機能だけを比べた場合、既存製品に劣ってしまう場合もあります。だからこそ、それぞれの環境配慮型製品が埋もれないように、サイト上では、丁寧な説明を心掛けています(山下)」。

グループの枠や国境を超えた展開も見据える

P&Goodsは、最近ではメルマガ配信やブログ更新などの発信にも力を入れている。また、世の中の変化に合わせ、インクジェット用紙、レーザープリンタ用紙(コピー用紙)などの主力アイテム以外に、「測量野帳」や「和紙ぞうり」といった一般的に注目されていない製品にも焦点を当てる。

進化を続けるP&Goods。床嶋はどんな未来像を描いているのだろう。「ひとつは、日本紙パルプ商事グループ全体のEC販売、マーケティングのプラットフォームになることですね(床嶋)」。オンライン上で直接ユーザーとつながることができる価値を活かし、日本紙パルプ商事グループ全体で連携していくことをP&Goodsは目指す。

さらに、グループの枠を超えた展開も見据える。「当社と取引のある全国の卸商さんなど得意先の取扱製品も掲載することで、得意先のビジネス多様化の一助になればと思っています。そして、近い将来、海外の需要をも取り込めるような、越境ECもやってみたいですね(床嶋)」。

紙の新たな可能性を示す、その一翼を担っていきたい

一方のP&Green。環境配慮型製品を長く扱ってきた山下は、最近、ある変化を感じていると言う。「社会的に、『地球の生態系を守る』など大きなテーマだけではなく、より現実的なテーマが取り上げられることが多くなりました。多くの人が、自分自身で、できることから、環境活動に取り組むようになってきた印象を持ちます(山下)」。

そんな今だからこそ、循環可能な素材である紙は、改めて注目を集めるようになっていると、山下は言う。「もともと紙が使われていたもので、プラスチックなどに代替されてきたものはたくさんあります。それをもう一度紙に戻すことは、生産・製造のスキームを大きく変えず、コストもあまりかけずに実現可能です(山下)」。また、今まで使われなかった分野に、紙製品が使われていく機会は、今後も増えていくと予想される。「P&Greenも、新しい製品の紹介などを通じて、紙の新たな可能性を社会に示す、その一翼を担っていければと思います(山下)」。

Kamipa Insightの情報は、掲載日現在の情報です。
予告なしに変更される可能性もありますのであらかじめご了承ください。
[掲載日] 2021年6月30日