リラックスやリフレッシュのためにお香を焚く。
それは日常に彩りをもたらす、ちょっとした贅沢といっていいだろう。
さまざまなタイプのお香がある中で、自宅はもちろん外出先や旅先でも楽しめ、
くつろぎの時間を作り出すのにもってこいの「紙のお香」がお目見えした。
よい香りのお香を焚くのを日々の楽しみにしている人は多い。よく見かけるお香はスティック型やコーン型をしているが、それらは形が崩れやすく、持ち運びや保管に注意を払う必要がある。
欧州ではアルメニアペーパーと呼ばれる紙のお香もポピュラーだが、日本で「紙のお香」といえば、紙に香りを付けて移り香を楽しむタイプのものが時折みられる程度で、火をつけて焚きしめるタイプは、これまでほとんどなかった。
そこに登場したのがグラーストウキョウの「ペーパーインセンス」である。
名前から連想される通り、細長い紙に火をつけ、漂う香りを楽しむ「紙のお香」だ。
紙の長さはわずか8cmほどだが、火をつけてから炎を吹き消すと、約5分ほどかけてゆっくりと燃焼し、柔らかな香りを立ちのぼらせる。燃え尽きたあとには灰もほとんど残らない。
なんとも不思議で、また気軽に試したくなる特徴だが、このように使いやすい「紙のお香」が形になったのは、香料を含浸させた紙をゆっくり燃焼させる技術が、新たに開発されたのがきっかけだったという。
そのときの様子を、ペーパーインセンスの製造販売元、グラーストウキョウ株式会社(東京都江東区)で社長を務める藤井省吾さんは、次のように語る。
「当社はアロマキャンドルやボディケア用品などを製造販売するフレグランスブランドですが、以前から『紙のお香』もぜひラインアップに加えたいと考えていました。ですが、既存の紙では火をつけるとあっという間に燃え尽きてしまい、ゆっくり燃焼するお香が作れなかったのです。何かいい方法はないかと探していたところ、それを可能にする特許技術が開発されたと聞き、さっそく取り入れて製品化を進めました」
特許技術を活用して作られた紙は、原料に針葉樹パルプを用いている。そのかさ高・多孔性といった特徴によって、火をつけると紙の内部に空気の流れが形成され、吹き消した後も火種が保たれて安定した燃焼が持続する。他にも香りをすばやく拡散させるなど、紙をお香として活用するためのさまざまな工夫が凝らされている。
その技術を導入し、「紙のお香」の魅力を強調するために、グラーストウキョウがコンセプトとして定めたのは、「持って行けるお香」というキーワード。紙であるメリットを生かし、携帯できるように金属製のケースにお香とホルダー、マッチをセットして、ケースを鞄に入れさえすれば、好きな場所でお香を楽しめるようにした。
2018年11月に発売されてからはまずまずの反響で、売り場を訪れたお客の中には「火をつけて使うんですか?」と驚いた人もいるという。火を用いず、袋から出すだけで爽やかな香りが漂うからだ。
もちろん、そのまま名刺やハンカチなどの間に挟んで移り香を楽しんでもいい。火をつければ香りは変化し、穏やかで丸みのあるものになる。ひとつのお香で2種類の香りが楽しめるのも面白いところだ。
金属製のケースに収められたペーパーインセンスは、白地に「GRASSE TOKYO」のロゴが利いている。スタイリッシュな外観が気分を高揚させるのも、清潔感のある白い紙が醸し出す良さといえるだろう。日本ではまだ珍しい紙のお香だけに、香りのグッズがさまざまある中で独特の存在感を示していくのではないだろうか。
ライター 石田 純子
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