出先で偶然利用したトイレに、カラフルな柄入り、あるいはメッセージ入りのトイレットペーパーが備え付けられていたとしたら……。
人はそれを手にとってしげしげと眺めてしまうのではないだろうか。
そんなシーンをつい連想してしまうような、オリジナル性の高いトイレット・ペーパーが最近注目を集めている。
もちろん、柄入りのトイレットペーパー自体は、決して珍しいものではない。人気キャラクターの印刷された一般家庭向け製品などはスーパーマーケットにたくさん並んでいる。しかし、着目すべきは広告・宣伝ツールとしての柄入りトイレットペーパーの使われ方である。
最近では大手電器メーカーが、2011年のアナログ放送終了の告知とともに自社製新型テレビの紹介を刷り込んだトイレットペーパーを制作し、顧客に配布して話題を呼んだ。
その印刷を担当したツユキ紙工株式会社(静岡県富士市)では、こうしたオリジナル印刷のサービスを2001年から開始している。同社ではそれまで小売り用トイレットペーパーの大量製造・印刷を手がけていたが、他社との差別化を図るため、ノベルティ利用などを想定した小ロットのオリジナル・トイレットペーパーの印刷を請け負うようになったところ、予想以上の反響があったという。
「トイレットペーパーの印刷といえば最低でも1万ロールから。それが業界の常識でした。コスト意識の高い製品なので、印刷の版を作る費用などを考慮すると、大量生産でなければ採算がとれないからです。しかし当社ではそこを再考してみようと。そこで2001年のサービス開始時は5000ロールからお引き受けしていました。しかし実際にスタートしてみると、小ロットのニーズが予想以上に多いことがわかったので、2003年からは100ロール単位、そして現在では個数制限をなくして1個からでもお作りしています」とツユキ紙工・営業部長の露木祐一郎さんは説明する。
とはいえ、3000ロールで注文した際の単価が84円であるのに対し、100ロールで注文すると単価は1125円となり、個数によっては割高と感じる場合もある(価格は2007年3月現在のもの)。
しかし、トイレットペーパーに印刷されたオリジナル柄が遊び心をくすぐるのもまた事実で、新郎新婦の似顔絵を印刷したトイレットペーパーを、結婚式の引き出物にするというようなユニークな利用法も急増している。
ツユキ紙工ではこれまでこのサービスに関して、ほとんど宣伝を行ってなかった。それでも「おもしろグッズ」として新聞や雑誌で取り上げられたのを見たり、口コミで知ったお客からの問い合わせが年々増え続け、受注件数は右肩上がりだという。
ちなみに同社で扱うトイレットペーパーはすべて再生紙、印刷インキは肌に触れてももちろん無害だ。
目新しさだけでなく、安心感とエコロジー性を併せ持つという点も、新たな宣伝ツールとして支持される理由なのだろう。
ライター 石田 純子
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