ゲームといえばネットゲームやコントローラーで操作する
デジタルゲームが思い浮かぶ。
そんな中、子供から大人まで世代を問わず楽しめるカードゲームが
じんわりと人気を集めている。
カードは名前を「ロッカ」といい、名前通り六角形の形をしている。トランプと同じスペード、ハート、ダイヤ、クラブのマーク、サイコロの目に似た0から13までの数字、そして数字と連動した「顔」の3要素で構成される。
遊び方はトランプの7ならべと似ている。自分の番が回ってきたら、カードの列の先端と同じ数字やマーク、顔をもつカードを手札から探して並べ、先に手札を出し切った人が勝ち。ジョーカーを出すと列の向きが変わったり、エースを出した人は2回続けてプレイできるといった番くるわせのルールもある。
駆け引きが楽しめる知的ゲームでありながら、カードの列が予想もしない方向に延びていくため、最後の最後まで勝ち負けはわからない。
ゲームの考案者、トゥルーリ・オカモチェクさんは「考えた僕自身も負けてばかり」と笑う。カードのデザインを担当した柿木原政広さんも「子供が大人に勝つこともある。それがこのゲームの醍醐味」という。駆け引きと偶然性の絶妙なバランスが、子供から大人まで夢中にさせる秘訣のようだ。
ロッカの原案が生まれたのは4年前。その後、いろんな人とカードで遊び、どうしたらもっと面白くなるかと考えながら、手さぐりで広げてきた。
「ブームになるより、100年後も残っているものにしたい」(柿木原さん)と考えてデザインしたカードは、繊細でクラシックな印象。
カードの素材にはプラスチックではなく紙を選んだ。何度も使ううちに生じる汚れや傷みがいい味わいになるからだという。またカードを入れるケースも紙製にした。
「プラスチックのケースは蓋がはずれやすいので、上から紙の帯を巻くことがあります。ところが紙を折り曲げてケースを作り、蓋と本体の接する面がそれぞれ2重になるようにしておくと、紙の弾性が摩擦力を高めるので蓋がはずれにくくなる。過剰包装を避けることができるんです」(柿木原さん)
2010年の発売後、ロッカはゲームに興味をもつ人たちにじわじわと浸透し、勝負を競う大会や、子供たちを対象にしたワークショップなども開催されている。そのたびトゥルーリさんと柿木原さんは静岡、長野、京都など各地へ出向くが、ロッカの魅力に賛同した現地の人たちのサポートも厚い。
「ゲームを作るうえで大切なのは、形を整えることではなく、遊ぶしくみと場所を提案すること。あとはプレイヤーが自由に解釈して遊んでほしい」とトゥルーリさん。その言葉通り、ロッカはゲームだけでなく、並べて積み木のように遊んだり、裏面の柄を活かしてだまし絵のような図を作ったりと、アイデア次第でさまざまな遊び方ができる。
今後は訪れた人同士がロッカで遊べる「ロッカバー」を、月一回程度で定期開催する構想もあるそうだ。せわしない日々の合間をぬい、カードゲームに夢中になるひとときは、紙がもたらす贅沢な時間であるに違いない。
ライター 石田 純子
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