我々の社会経済活動にも大変大きな影響を与えて参りました新型コロナウイルス感染症に対する各種行動制限も、本年3月のマスク着用に関する基本ルール変更に続きゴールデンウィーク明けからは感染症分類も5類へと移行し、インバウンド需要の回復を含め今年度は色々な意味でコロナ禍からの完全復活の年に位置付けられるものと考えています。また、当社に於きましても、数年ぶりの開催となるイベントが複数予定されており、当社本来の強みを存分に発揮するチャンスだと感じています。
当社グループでは、コロナ禍初年度の2020年度こそ減収減益となりましたが、幸いにもこれまでの多角化戦略が奏功し、『中期経営計画2023(以下、中計2023)』の初年度であります2021年度には史上最高益とともに『中計2023』の最終年度目標である経常利益150億円を達成致しました。更に『中計2023』の2年目に当たる2022年度は、資源・エネルギー価格高騰などの厳しい環境下ではありましたが、全セグメントでの大健闘に加え、在外大型拠点での様々な合理化策及び海外主要市場での複数回の大幅値上げにより海外卸売セグメントが大ブレイクしたことや、純利益では勝どきの不動産の一部売却益も計上した結果、営業利益203億円、経常利益212億円、親会社株主に帰属する当期純利益254億円となり、当社グループとしては異次元の過去最高益を記録することが出来ました。
同時に近年ではコンプライアンスの徹底、商品や操業の安全管理強化、取引契約締結の徹底、SDGs対応、サステナビリティ対応、内部監査フォローアップ作業等々、リスク管理を強化するとともに拡大する社会的要請に更に適切に対応するためにグループ全体で一層の努力を続けております。
一方、『中計2023』最終年度となります今年度に付きましては、資源・エネルギー価格の高止まり、構造的要因に拠る紙・板紙・家庭紙等の需要停滞、海外主要市場での市況・需要反落と金利上昇傾向など、多くのセグメントに於いて、一定の逆風が吹く中でのスタートとなりました。『中計2023』最終年度目標の達成を確保するとともに、コロナ禍初年度(2020年度)に当社として緊急事態を宣言した時と同じですが、このような時こそ、思い切って業務やコストの無駄を省きながら、一方では次期『中期経営計画2026(以下、中計2026)』策定を含め次の飛躍のための大胆な仕掛け作りをして参りたいと考えています。
また、引き続きグループ内のインテリジェンスを共有し相互活用することにより、各事業分野に於ける競合他社との差別化を図り、お取引先様にプラスαの付加価値やサービスを提供して参ります。
前述の通り、今年度は次期『中計2026』策定の年となります。長期ビジョン2030で描いている当社グループが目指す姿(世界最強の紙流通企業グループ、持続可能な社会と地球環境に一層貢献する企業グループ、紙業界の枠を超えて評価されるエクセレントカンパニー)の実現に向けて、次期『中計2026』は正にその成否を決定づける仕組み・仕掛け作りの期間と捉えており、当社グループ史上で最もAmbitious、Aggressive、Dramatic、Exciting、Challengingな目標と具体的な行動施策を設定して参る所存です。
社会の価値観や企業に対する要請が急速に変化しています。たとえ今が良くても、そこに踏みとどまっていては生き残れない世の中であり、それに気づいたときには手遅れになっていることが容易に想像されます。現状維持は罪悪である、との考えのもと、先手必勝、常に各事業領域に於いて先駆的な取り組みを実行して参りたいと思います。
お取引先、株主、地域社会、監督官庁およびグループ役職員などあらゆるステークホルダーの皆様には、一層のご理解とご支援を賜ります様、何卒よろしくお願い申し上げます。
2023年6月
代表取締役社長 社長執行役員