2023年6月、社外取締役に髙橋寬氏、社外監査役に本藤光隆氏、福島美由紀氏が新たに就任し、当社の社外取締役は3名、社外監査役は3名となりました。社外役員6名が日本紙パルプ商事グループの強みや提供価値について語ります。
企業が中長期的にその価値を高めていくうえで、ボード機能の実質化が極めて重要であることは言うまでもありません。不確実性の高い時代において、リスクと機会を的確に把握するために、当社はボードの多様性向上にも取り組んでいます。女性役員の割合は30.0%と、プライム市場上場企業の卸売業の分野で2位になっており(2022年7月末時点)、取締役会などでは毎回極めて活発で多角的な議論が行われています。
また、当社では2022年度からサステナビリティ戦略会議とサステナビリティ推進本部を設置してサステナブル経営の充実を図っていますが、当社グループだけでできることには限りがあります。お取引先の皆様との会議において環境やエネルギー問題に関する講演会を行い、私もその講師を務めさせていただくなど、微力ながらステークホルダーの皆様と一体となった取り組みに貢献することができました。持続可能な社会に向けて、グループ全体で取り組むだけでなく、「誠実・公正・調和」という企業理念のもと、広くステークホルダーの皆様との協調が今後も充実することを期待しています。
紙流通のリーディングカンパニーとして178年の歴史を持つ当社ですが、その歴史にあぐらをかくことなく、新たな価値の創造に取り組んできました。「新たな価値を創造する組織力」「専門性とネットワークを活かした提案力」「循環型ビジネスを実現する技術力」をさらに磨き込み、コーポレート・スローガンである「紙、そしてその向こうに」向かって歩みを進めなければならないという強い課題意識を持って、今後もボードの議論に参加していきたいと思います。
2022年、社外取締役に選任いただいてから早1年が経過しました。取締役1年目の私にとって大変に有益と感じたことの一つに、取締役会の前に行われる事前説明があります。丁寧かつ十分な説明に加えて、監査役会や経営会議の報告などもあり、必要な情報をインプットしたうえで取締役会に臨むことができました。取締役会で活発な議論が繰り広げられるのは、こうした取締役会事務局の取り組みがしっかりと機能している点にあり、このような取り組みが取締役会の実効性向上への寄与、ひいてはガバナンスの実効性を高めていると捉えています。今後、こうした取り組みをグループガバナンスへとつなげ、連携の取れたガバナンス体系へと進化させていくことが重要になると考えます。
現行の「中期経営計画2023」で掲げる定量目標を前倒して達成などの成果が示すとおり、当社グループは安定した経営基盤のもと、幅広い事業を通じて価値創造を実現しています。また、半世紀近くにわたり古紙の再資源化事業などのリサイクル事業を通じて、サーキュラーエコノミーの実現にも貢献しています。こうした当社グループならではの価値創造や取り組みについては、社会に対してしっかりと訴求し、評価が得られるようにしていきたいと思います。
今後、当社がさらなる企業価値の向上を目指すには、従業員が持つ潜在能力を引き出し、イノベーションを生み出す活気ある職場環境づくりをしていく必要があると考えます。私も、こうした取り組みに貢献できるよう、社外取締役としての職務を果たしていく考えです。
2023年6月の株主総会にて、取締役に選任いただきました髙橋です。私は1985年に銀行で社会人生活をスタートしてから今日に至るまで、一貫して銀行の多様な業務に携わってきました。これまで培ってきた経験を活かし社外取締役という立場から、私なりに当社グループの経営全般に対して監督、助言をしていきたいと考えています。
当社グループを取り巻く事業環境や業績推移を見てみると、リスクをいかに軽減し、事業機会をしっかりと捉えていくことが持続的成長や価値創造につながっていくということです。紙業界に関する一般的なリスクについて、よく耳にすることの一つに、デジタル技術が進展すると紙の需要が減少し、成長の可能性も限定的になるということですが、これに対して当社グループは強みである提案力や組織力、技術力を駆使して事業機会をしっかりと捉えることで、高付加価値製品を創出する可能性は無限に広がっていくと考えています。言い換えれば、グループガバナンスのさらなる高度化とグループシナジーの一層の発揮が“紙、そしてその向こうに”というグループスローガンにつながっていくのではないかと考えています。
紙本来の伝える、包む、拭くなどの機能やしなやかさなどの特徴を活かしつつ、当社グループならではの循環型ビジネスを強化するとともに、M&Aを通じて周辺領域のビジネスを拡充していくなど、紙ビジネスの飽くなき可能性を追求することで、社会に新しい価値を提供していくことが可能になると考えています。
今後、当社グループが真の意味での世界最強の紙流通グループとなるためには、やはり人材が最大の経営資本であり、海外の人材を含めて次世代の経営を担う幹部候補を育成していくことが重要です。当社の人材マネジメント体系を整備するなど、人的資本経営を一層強化していくことを期待しています。
当社のガバナンス体制について、特に強調したい点を申し上げますと、経営陣が当社グループに影響を及ぼす可能性がある課題に対して、いち早く是正措置を講じる体制を備えているところです。いわゆる経営トップの気風などの統制環境やコーポレートガバナンスは十分でありますし、内部監査もしっかりと機能しています。グループガバナンスという観点では、現在でもプライム市場の上場会社として十分ではありますが、今後の業容拡大を踏まえて、一層の取り組み強化・充実が必要と考えています。
当社の取締役会では、たびたび議案に挙がるM&Aや投資案件について、案件ごとに慎重に検討し、また投資後の状況についても多くの時間をかけて評価・議論を重ねてきました。その結果、特に海外でのM&Aに関しては、順調に進捗し成果をあげていることを確認できています。ただし、海外と日本では物理的に距離が離れていますので、管理やIT 統制については、3線ディフェンスラインを考慮したうえでの本社からのグリップが鍵となります。前述のとおり、M&Aにより国内外を問わずグループ会社が増加し、事業も多角化しているため、子会社の経営を任せられる人材の育成や、海外の人材を国内や他国のマネジメント層へ登用するなど、経営人材の 流動化や多様化も、さらに進めていただきたいところです。
最後に、当社グループへの期待を申し上げます。祖業である国内卸売事業には安定的にキャッシュ・フローを創出する力があり、これまでの長い歴史のなかで積み上げてきたネットワークやノウハウに相当な強みや潜在力があると思います。このような貴重な経営資源を活用し、新しい価値創造や業界横断的、または、業界を超えた取り組みにも期待しています。
2023年6月に、監査役に選任いただきました本藤です。これまで弁護士として培ってきた実務経験、法律やコンプライアンスに関する知見を当社の監査機能およびガバナンス体制強化につなげられるよう、貢献していきたいと考えています。
当社は、紙の卸売業界においてリーディングカンパニーという立場で、新しいビジネスに挑戦し、紙の可能性の拡大を追求している会社だと思います。紙というのは非常に可能性の高い素材として注目を集め、プラスチック代替品ともなり得る素材として紙の存在感は増しており、環境負荷の低減という点からも、紙は大きな可能性を秘めています。当社は、業界のリーディングカンパニーとして、多様な課題に対して解決策を提案できる会社でもあると思っています。SDGs が掲げる17の目標達成や、企業が抱える環境負荷低減に対する課題解決などに対して、今後も積極的に提案し、価値を提供していくことに期待しています。
コーポレートガバナンスの取り組みにゴールはありませんので、常に課題があれば解決し、社会的に見ても公平で公正な体制に更新していくことが重要であると考えています。紙の潜在的な可能性は広がり、業績も順調な進捗を見せています。こうした状況のなか、気を緩めるとほころびも出やすくなりますので、社外監査役という立場から、職務を全うしたいと考えています。グローバル企業として、世界基準の価値観に基づき、公平性や真実性というものを満たすガバナンス体制へと進展させ、すべてのステークホルダーとの対話・コミュニケーションを大切にして、企業価値を高めていくことに期待しています。
2023年6月開催の株主総会において、新たに監査役に選任された福島です。これまで税理士として企業の税務、会計などに携わってきた経験を当社の監査機能の強化に活かしていきたいと考えています。
監査役に就任してからまだ短期間ですので、社外からの視点で当社の印象についてお話しさせていただきます。当社は178年という長い歴史を有する企業でありながら、常に新しい挑戦をして企業価値を高めてきました。また、自己資本比率やキャッシュ比率、借入金、ROE、ネットD/Eレシオなどといった指標からは、資産、負債、資本のバランスが良いことがわかり、これまで財務基盤の拡充に配慮して経営を推進してきた企業であることがわかります。
現在推進中の「中期経営計画2023」においても、前倒しで最終年度目標を達成している指標もあり、収益面に関して着実に成果を出していると見ています。今後は、サステナブル経営のさらなる充実という観点から、特に、気候変動関連リスクへの対応や、人的資本経営の拡充という点において、企業価値の向上につながる取り組みを推進していくことに期待しています。また、サステナブル社会の実現という観点からは、従業員の満足度を高める仕組みを確立し、自分たちの働きが企業価値の向上に貢献するということを実感してもらうことで、従業員エンゲージメントを高めていってもらいたいと思います。私もこれまでの経験を活かして、企業価値の向上、透明性の高い経営の実現に向け、貢献していきたいと考えています。