当社グループが今後も持続的に企業価値を向上させていくためには、当社グループの最大の経営資本である人材をさらに強化していくことが必要不可欠です。そのためには、優秀な人材を採用し、適切に育成・活用していくことが重要です。
当社の採用は、創業から178年間という長い歴史のなかで育まれてきた当社グループの価値観である企業理念「誠実」「公正」「調和」に基づいて実施しており、3つのC「Change(社会の変化を的確に捉え、迅速果断に自らを変革する)」「Challenge(強い信念、高邁な向上心をもって、新たな領域に挑戦する)」「Create(多様性を尊重し、世界規模で新たな価値を創造する)」を積極的に実践できる人材の採用に取り組んでいます。さらに、当社グループの事業領域拡大に伴う人材の戦略的配置に向けて、キャリア採用も積極的に推進しており、さまざまな経験を有し、自らのスキルを最大限に活かせる環境を求めているChallenge精神旺盛なプロフェッショナルをグループ各社に迎えています。
当社の人事評価制度は、「グレード基準評価」と「チャレンジ評価」により構成されています。「グレード基準評価」では、役割グレード別にその期待水準を「グレード基準」として統一的に定め、その発揮・実践の度合いを評価しています。「チャレンジ評価」は、「業績評価」と「プロセス評価」の2つから構成され、「業績評価」では、所属する組織の該当期間における定量的な業績の達成度合いを評価します。「プロセス評価」では、業績目標の達成に向けてチャレンジすべき優先度の高い事項や、新たな価値創造に向けて中長期で取り組む事項などの目標を設定し、その取り組みを評価します。「プロセス評価」においては、設定した目標レベルへの到達度よりも、困難や変化に対する対応力や行動を重視しており、目標設定の内容は質が高く、真にチャレンジ性の高いものであることが要求されます。当社は、目標設定と評価いずれの場面においても、被評価者とよくコミュニケーションを取っていくことにより、成果や行動を適正に評価し、処遇に反映するとともに、フィードバックにより透明性を高めることで従業員の納得感を高め、モチベーションを支えていくことに注力しています。
当社は、「役割責任制度」を人事制度の柱とし、育成と活用によって最大の経営資本である人材の活性化を図っています。「役割責任制度」では、組織マネジメントだけでなく、自らの専門性を発揮し具体的な課題の達成を図る役職を設けるなど、能力と意欲のある従業員の抜擢・登用を行っています。人材育成のための教育・研修体系では、「役割と責任を果たす人材の育成」「変革期に対応する自立型人材の育成」をコンセプトとし、従業員一人ひとりの能力向上や、人と組織の活性化を目指したプログラムを推進しています。「階層別研修」では、昇格対象者を一堂に集めて、期待される役割の理解とワンランク上の業務遂行に向けた研修を実施し、「選択型研修」では、コア人材に必要な経営知識やマネジメントスキルの習得を目的に、高度化・複雑化する組織課題や業務課題の解決・達成に向けた実践的なプログラムを取り入れています。さらに、国際的視野を備え、外国語による実践的なコミュニケーション力を有する人材を育成するために、「海外研修制度」を運用しています。加えて、タレントマネジメントシステムにより、従業員の職歴などの基本情報や経験・スキルなどの能力など情報の一元的な管理・可視化に取り組み、これらを研修・教育に活用するとともに、従業員それぞれの特性を活かした戦略的な人材配置にもつなげています。今後は、人材データの棚卸しをさらに精緻化させ、そのデータに基づいた戦略的な人材育成投資を実行していくことで、当社の持続的な企業価値向上を担う人材のスキルや能力の向上を図っていきます。
当社は、2022年度より整備・強化したサステナブル経営のなかでも、特に人的資本経営を経営戦略上の重要課題と位置づけています。人的資本経営を推進していくうえで、まずは現状の従業員エンゲージメントを可視化するためにエンゲージメントサーベイを2023年5月に実施、今後定期的に行う予定です。そして、その結果を分析して、これまで以上に従業員一人ひとりの働きがいを高め、より活躍し、付加価値を生み出す新たな仕掛けづくりにチャレンジできる組織風土の醸成と生産性の向上を目指していきます。
当社は、最大の経営資本である人材が健康で生き生きと働ける職場環境づくりに向け、役職員一人ひとりが自らの健康に責任を持って心身の健康維持・増進に主体的に取り組むことが個々の生活の質や仕事の質を高め、当社の生産性や企業価値向上につながると考え、健康経営の取り組みを進めています。ノー残業デーの実施など残業時間削減や有給休暇を取得しやすい環境づくりに加え、在宅勤務制度やシフト勤務の導入などにより働き方改革を進め、ワーク・ライフ・バランスの実現に努めています。また、疾病などを低減させるために各種健診やストレスチェックなどを実施し、産業医や常勤看護師、複数の衛生管理者を設けるとともに、外部の相談機関と連携するなど、役職員一人ひとりが心身ともに健康で、生き生きと能力を発揮できる職場づくりを進めています。
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当社グループは、労働災害ゼロ、危険ゼロ、職業性疾病ゼロを目指し、労働安全衛生体制および管理の強化に取り組んでいます。その取り組みは、人事部、環境・安全推進室、およびOVOL環境・安全委員会を通じ、グループ各社で実行され、サステナビリティ戦略会議に報告されます。これらの活動の結果として、2022年度の当社グループ内での死亡事故発生はゼロでした。当社グループのマテリアリティとして「労働環境」を掲げており、今後も最優先事項である労働安全衛生の向上に向けて、労働災害を防ぐための事前措置を講じるとともに、働きやすい職場づくりを進めていきます。
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