当社の採用は、創業から180年間という長い歴史のなかで育まれてきた当社グループの価値観である企業理念「誠実」「公正」「調和」に基づいて実施しており、3つのC「Change(社会の変化を的確に捉え、迅速果断に自らを変革する)」「Challenge(強い信念、高邁な向上心をもって、新たな領域に挑戦する)」「Create(多様性を尊重し、世界規模で新たな価値を創造する)」を積極的に実践できる人材の採用に取り組んでいます。また近年では、当社グループの事業領域拡大に対応するために多様な経験・スキルを持った人材獲得に向けて、キャリア採用を強化するなど人材ポートフォリオの強化を図っています。当社グループのマテリアリティであるダイバーシティ&インクルージョンの取り組みの一つとして掲げている、2030年度当社単体女性管理職比率10%以上の達成に向けて「OVOL中期経営計画2026」では、総合職採用における女性比率を30%以上にすることを目標としています(2024年度においては目標値を達成)。今後はスカウト型採用やアルムナイ採用など多様な採用チャネルをより積極的に活用し、人材採用の強化に取り組んでいきます。
当社グループの事業セグメントは国内卸売・海外卸売・製紙加工・環境原材料・不動産賃貸の5つのセグメントで構成されており、今後も当社グループの事業領域拡大に対応していくために、多様な経験・スキルを持った人材育成が急務となっています。このため「OVOL中期経営計画2026」では従業員全体のスキル底上げと、専門人材の育成に向けた教育研修を強化しています。例えば、選択型研修の一環として経営管理人材の育成を目的としたビジネススクールの積極的な活用や、国際的視野を備え、海外との実践的なコミュニケーション力を有するグローバル人材を育成するための海外研修制度などを導入しています。このほか、事業戦略上重要なグループ会社や取引先、外部機関に対して当社社員を積極的に出向派遣し、グループ事業戦略に基づく実務経験を通じてさまざまな知見の取得や実践的な専門スキルの強化を図っています。今後はグループ事業戦略を進めていくうえで有用な公募型研修のさらなるラインアップ強化や、昨年度より導入したオンライン研修サービス「Udemy Business」の積極的な活用などを通し、人材育成強化を進めていきます。また、これらの取り組みで得られた経験・スキルなどの人材データをタレントマネジメントシステムにて一元的に管理・可視化し、動的ポートフォリオに活用するとともに、従業員それぞれの特性を活かした戦略的な人材配置にもつなげていきます。
企業のマネジメントにおいて、目標管理は業績管理上不可欠であり、人事評価と組み合わせることで、組織の動機づけや個の能力開発を促進し、処遇を決定する重要なファクターとして活用されます。当社の人事評価制度は、「グレード基準評価」と「チャレンジ評価」により構成されており、社員の育成ツールとしても積極的に活用することでパフォーマンスの最大化を目指しています。また、目標設定と評価のいずれの場面においても、評価者および被評価者双方でよくコミュニケーションを取ることで、成果や行動を適正に評価し、フィードバックにより透明性を高めることで従業員の納得感を高め、モチベーションを支えていくことに注力しています。
当社は、長期ビジョン実現のためには人的資本経営の推進によるエンゲージメント向上が重要な課題と認識しており、2023年度より毎年2回エンゲージメントサーベイを実施しています。サーベイ結果のフィードバックを通じて組織課題を可視化し、改善活動を行っていくことで、これまで以上に従業員一人ひとりの働きがいを高め、より活躍し、付加価値を生み出す新たな仕掛けづくりにチャレンジできる組織風土の醸成と生産性の向上を目指していきます。

2024年12月および2025年6月実施のエンゲージメントサーベイ結果は「BBB」となり、中期経営計画目標を2年前倒しで達成しました。サーベイ結果から見える当社の課題として、グループの成長戦略が従業員へ浸透しきれていないことや人事ローテーションによる人材育成が挙げられます。グループ成長戦略の浸透への取り組みとして、経営と現場をつなぐ「結節機能」の強化を目的に、本部長・支社長および部長を対象にしたセミナー開催や、経営からの発信と共有の場として、社長と部長による「経営との対話会」や支社従業員との対話会などを実施しました。
社長が長期ビジョン2030に込めた想いや「中期経営計画2026」の戦略について、直接従業員に向けて発信することで従業員一人ひとりに長期ビジョンに対する一層の理解と浸透を図りました。今後はもう一つの課題である人事ローテーションによる育成プログラムの再構築を進めていくことでさらなるエンゲージメントの向上に努めていきます。
当社グループは、「人材」を最大の経営資本と考え、役職員一人ひとりが自らの健康増進に主体的に取り組み、活力向上を実現できるよう支援しています。
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当社グループは「日本紙パルプ商事グループ労働安全衛生方針」に基づき、労働災害ゼロ、危険ゼロ、職業性疾病ゼロを目指して、当社人事部、環境・安全推進室を中心とし、OVOL環境・安全委員会を通じてグループ各社において取り組んでおり、その取り組み状況は、サステナビリティ戦略会議に報告されるとともに、取締役会にて監督しています。安全衛生管理強化にあたっては、環境管理体制と同様、各社での自律的管理、環境・安全推進室による書面・実地確認、外部専門家による実地確認という三段階の管理体制を構築しています。2024年度に実施した二段階、三段階の訪問確認において法定選任者等の未選任や未届が一部に確認され是正を行いました。労働災害や事故発生時には、グループ内で共有し、再発防止対策の強化と継続的な改善に努めています。また、OVOL環境・安全委員会では、国内グループ会社を対象とした全体会議を定期的に開催しており、2024年度は3回開催し、年々増加する熱中症対策に関する意見交換を行いました。
なお、2024年度、当社グループ内における死亡事故の発生はゼロであり、安全管理体制の成果が一定の効果を上げているものと認識しています。
当社グループはマテリアリティとして「労働環境」を掲げており、今後も最優先事項である労働安全衛生の向上に向けて、労働災害を防ぐための事前措置を講じるとともに、働きやすい職場づくりを進めていきます。
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本社が入居するフォアフロントタワーを2022年6月に売却して以来、これからの日本紙パルプ商事の本社、また当社グループの中心地としてふさわしい場所を検討してきました。その検討にあたっては、立地面においては、本社に勤務する従業員の利便性に加え、支社、国内外に広がるグループ会社、お取引先様からのアクセス改善によるコミュニケーションの向上、関係強化につなげることができること、また、施設面においては、多層階に分散している現オフィスを、広い基準階面積を有するオフィスに移転することにより、組織の垣根を越えたコミュニケーションの活性化の実現に重きをおいて、物件の絞り込みを行いました。
並行して、本社従業員による「本社移転・働き方検討プロジェクト」を立ち上げ、一層の生産性向上や企業価値向上を図るための新しい働き方の検討を行い、その過程で、本社移転のグランドコンセプトとして、「Beyond Boundary! -Crossover & Choice-」を策定しました。今回の本社移転は単なる場所の移動ではなく、長期ビジョンの実現に向けた成長投資および人的資本投資の一環、かつ、「中期経営計画2026」における3つの基本方針に基づくさまざまな仕組み・仕掛けづくりの一つであり、当社グループの一層の企業価値向上につなげるための重要施策と位置づけています。従来の仕事の枠組みや部署・世代・業界の枠組みを超えて、これまでの延長線上ではないゼロからイチへの新たな仕組みづくり・仕掛けづくりにチャレンジし、長期ビジョンの実現につなげていきます。